2階にグランドピアノ2台設置したピアノ教室

在来工法の木造住宅の2階約8.5帖にスタインウェイとヤマハC5という大型グランドピアノを2台設置することと、ご近所への音漏れで迷惑がかからないようにすることが防音室の目的でした。

グランドピアノを2台設置するには薄い防音壁しか対応できず、同時に床の振動抑制と剛性補強をしなければならないという前提条件がありました。

 

また、ご予算の制約をクリアすることと、ピアノ教室として問題なく使える良好な音響を確保することが依頼者の切実なご希望でした。

このため、天井高をほとんど変更せず、石膏ボードも音響上の理由から壁と床には一切使用しない防音設計・施工を計画しました。

*防音工事完了後の音響チェックでは、ほとんど問題なくピアノ教室として利用できるだけでなく、戸外や階下の部屋への音漏れは大幅に減らすことが出来たことを、依頼者と一緒に確認しました。

*依頼者は国外でピアノ演奏活動をされていたプロのピアニストです。日本のご自宅でピアノ教室を運営するために帰国されました。

厚さ35ミリの防音壁

大型グランドピアノを約8.5帖の部屋に置くため、戸外側の防音壁は既存面から35ミリの厚さが限界でした。

間仕切り壁では厚さ20ミリしか施工できませんでしたが、35ミリ側ではD-50以上の遮音性能が確保され、20ミリ側では防音ドアの性能を上回る効果が出ました。

床の剛性・制振補強

グランドピアノの重低音を抑えるため、既存床面に剛性補強と、制振材・絶縁材による振動音の軽減を図りました。

 

工事完了後は低音から高音まで音響が改善され、防音壁の性能と併せて、プロのピアニストでも納得できる音楽防音室になりました。

天井は6センチ弱変更

床と天井の防音対策は、従前に比べて合計6センチ弱の厚さが追加されただけで対処できました。

 

天井裏の空間を活用した吸音効果を追加したり、床材をタイルカーペットにするなど、音響と防音効果を高める工夫をしました。